債務整理法を比較!あなたの最適解はどれか?

債務整理とは借金の額を減らし、重い金利負担から解放される手続きです。自己破産だけではありません。その他にも借金の程度や本人の状況に応じて任意整理、特定調停、個人再生の3つの債務整理の方法があるのです。

ここでは、それら合計4つの方法を比較して最も適切な方法を選べるよう比較一覧表を作成しました。このようにして全体を眺めると、日本の制度はどんな事情であれ借金に苦しむ人にとって決して厳しすぎない、むしろ温情主義的な傾向があるように思えてきます。

債務整理のあらまし
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■比較的借金が少ない時の一般的な債務整理法 ■裁判所を介した任意整理に近い債務整理法 ■一定額の収入ある人が、借金の総額を減額し再生計画に従って返済する債務整理法 ■所有している財産を失う代わりに、借金をすべて帳消しにできる
債務整理の特徴
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■債務整理の中で最も多い
■相手(債権者)を選べる
注記2 参照
■本人手続きが原則で弁護士等費用が不要
■相手(債権者)を選べる
■住宅ローン返済者にメリット多し ■債務整理の最後の手段
利用条件
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■特になし ■支払い困難に陥るおそれがあること 継続的収入を見込める人(今後3~5年間) ■支払い困難な状態にあること
こちら も参照
債務整理の効果
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■借金の減額
■返済期間延長
過払い金の返還
■借金の減額
■返済期間延長
■住宅ローンを除く借金が1/5程度まで減額 ■免責が決定すれば、すべての借金がゼロになる
担当裁判所
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■関与しない ■簡易裁判所 ■地方裁判所 ■地方裁判所
本人による交渉や面接の必要性
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■不要
※弁護士等に依頼した場合
■裁判所の調停委員を加えた三者協議 ■債権者との直接交渉は不要。要請があれば裁判官と面接
※弁護士依頼の場合
■債権者との直接交渉は不要。裁判所での意見陳述は必要
※弁護士依頼の場合
弁護士等への依頼
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■弁護士等への依頼が一般的 ■本人手続きが原則 ■弁護士等への依頼が一般的
■本人手続きも可能だが負担が大きい。結果的に弁護士等依頼時の費用と同等になるケースもある。
こちら も参照
保証人への影響
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■保証人の責務は消えない
■保証人設定した債権者を除外できる
■保証人と連名で債務整理する方法がある
■保証人の責務は消えない
■保証人は一括返済を求められる
保証人は強制執行も拒めない
債務整理上の長所
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■弁護士等介入により取立が直ぐ止まる
■債権者に会わなくて済む
■弁護士等への依頼費用がないので費用が安い ■住宅ローンの減額や免除はないが、他の借金が1/5ほどに減額される ■免責が決定すれば、全ての借金がゼロになる
主なデメリット( 注記3 参照)
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
① 財産没収:なし
② 就業制限:なし
③ 官報掲載:なし
④ 破産名簿:なし
⑤ B リスト:あり
① 財産没収:なし
② 就業制限:なし
③ 官報掲載:なし
④ 破産名簿:なし
⑤ B リスト:あり
注記4 参照
① 財産没収:なし
② 就業制限:なし
③ 官報掲載:あり
④ 破産名簿:なし
⑤ B リスト:あり
注記5 参照
① 財産没収:あり
② 就業制限:あり
③ 官報掲載:あり
④ 破産名簿:あり
⑤ B リスト:あり
費用の目安(特定調停以外は弁護士等に依頼)
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
■債権者1社に付き4万円前後
■減額報酬15%程度
■過払い金返還の成功報酬20%程度
■1万円未満 ■個人再生委員への報酬15万円
■司法書士への依頼なら25万円前後
■弁護士への依頼なら40万円前後
■引継予納金1万円~50万円
■司法書士への依頼なら25万円前後
■弁護士への依頼なら40万円前後
こちら も参照

※ 注 記 1:弁護士等に司法書士を含む。

※ 注 記 2:過払い金返還の可能性あるA社は任意整理で、その他は特定調停を利用するなどの個別対応もできる。

※ 注 記 3:各項目の説明は下記の通り。
① 財産没収:財産の差し押さえ(最低限の財産保有は認められる)
② 就業制限:特定の職業で就業制限がある。破産手続き終了後解除。
③ 官報掲載:国が発行している広報紙。業界人の利用がほとんど。
④ 破産名簿:本籍地の破産者名簿に記録、非公開。免責決定で抹消。
⑤ Bリスト:ブラックリストへの記録。5年から7年は消えずローン、カードが不可

※ 注 記 4:特定調停での留意事項
・特定調停は返済交渉が主役で過払い金は脇役。過払い金の存在は債務の消滅や減額を促進するが、返還まで含めると調停成立が困難に。
・調停委員同席とはいえ債権者との面接交渉が必要。
・特定調停の合意事項は法的拘束力を持ち、給与差し押さえなど強制執行が可能。
・調停は裁判所の開庁日(土日除く平日)のみ。調停開催は月1回程度、債権者1社ごとに実施。 → 終了まで時間がかかる。
※関連サイト:自己破産だけじゃない借金整理・徹底解説

※ 注 記 5:個人再生での留意事項
・債権者全員の同意が必要で、反対者の説得に難航するケースもある。

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