債務整理:失敗しない専門家の選び方(保存版)

(債務整理の全体イメージ把握のため、是非最初に読んで頂きたいページです)

債務整理、つまり借金苦からの脱出は専門家の選び方でほぼ決まる、というのがこのページでお伝えしたい主な内容です。

あなたに最も適した専門家の選び方を丁寧に解説します。長文ですが、債務整理を始めるなら知っておきたい情報を満載、是非最後までお付き合いください。

目次

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第1章:債務整理を成功に導く最強のステップ

最強ステップのご紹介

第2章:債務整理についての知識を身に付ける(S2)

債務整理の5つの方法
・連帯保証人への影響
・手続き費用は基本的に前払い
・ブラックリストや官報など

第3章:ケース別債務整理法の標準的選びかた(S2-2)

ケース1.住宅ローンの返済だけでも苦しい
ケース2.住宅ローンとサラ金の多重債務で苦しい
ケース3.サラ金の多重債務で苦しい

第4章:弁護士の特性を理解する(S3)

視点を変えて見る弁護士像
・弁護士業の収入実態
・弁護士の残念な対応の例

第5章:頼りになる弁護士を選び出す(S4)

弁護士の普通の意見
失敗しない弁護士・司法書士の選び方
債務整理は弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか
ケース別専門家の選び方
専門家の探し方
・弁護士の探し方

第6章:頼りになる任意売却業者を選び出す(S4-2)

任意売却についての知識を深める
任意売却業者の選び方
任意売却業者の探し方

第7章:お試し相談、決定、そして契約(S5)

お試し時の注意

契約時の注意(お試し時の注意に加えて)

第8章:契約後の進捗チェック(S6)

契約後の注意

第9章:債務整理専門家選びのまとめ

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第1章:債務整理を成功に導く最強のステップ

連日の借金取立てで仕事が手に付かない、給料差し押さえも心配だし、家族のガマンも限界に来ている。もう自己破産しかないのか?

住宅ローンの返済が毎月苦しい。ついに先月は滞納してしまった。このままではローン破産は間違いない。銀行に行くのも億劫だし、せっかくのマイホームも競売でなくすのか?

なんとかしようと、あなたは行動を起こします。まずスマホかPC使ってインターネット検索。

「借金返済」「債務整理」「借金整理無料相談」・・・・・そして債務返済には任意整理とか特定調停とか自己破産などいくつか方法があることを知ります。そんなサイトには必ず無料相談への案内や弁護士事務所の紹介広告が表示され、クリックしたい誘惑に駆られます。

検索を続けていると、あなたの検索行動は検索エンジンに解析され、画面には債務整理に関する公告がひんぱんに表示されるようになります。

「自分の場合、個人再生というのが良さそうだが、自信が無い。専門家の意見を聞こう」と、やがてあなたは数ある無料相談サイトの一つをクリックします。

そしてその先はなし崩し的に担当の弁護士や司法書士の勧めるままに、あなたの債務整理が進められることになります。

あるいは、相談先として公的な窓口である法テラスを選択するかも知れません。法テラスは3回までは相談料は無料です(収入制限あり)。そこで弁護士や司法書士を紹介され、あまり深く考えないまま切迫感に後押しされて言われる通りの債務整理に着手します。

以上は借金に苦しむ人の最も一般的な行動パターンです。本当にこれでいいのでしょうか?

そしてその結果は?

ある人は、個人再生(個人向けの民事再生)という方法を使って、住宅ローンの期間延長による毎月返済額の減額とサラ金債務1/5圧縮を実現、その結果自宅を残し毎月返済額も大幅に減り借金苦から解放されました。これは債務整理の成功例です。

又ある人は、個人再生での手続きを依頼したのに勝手に自己破産に変更され、その結果自宅は競売で失い、財産は没収され破産者となってしまった。弁護士に苦情を申し立てても、最善を尽くしたと言われてそれでおしまいです。他にも選択の余地があった中での自己破産は債務整理の失敗例と言えます。

成功と失敗を分けたものは何でしょう?

それはズバリ、有能な専門家の力を借りて債務整理ができたからです。

債務整理は、多くの法律や金銭取引の現実、借り手と貸し手の思惑が絡み合う厳しくも泥臭い現場です。そういう分野で、知識・経験の乏しいシロウトに正しい判断や処理を求めるのは土台からして無理があります。そこで有能な専門家選びの重要性が浮上してくるのです。

ある人は、「債務整理はそんなに難しくない、私は何の知識もない状態で、ネットで無料相談を見つけそこで紹介された弁護士に頼んで、万事うまくうまくいったよ」と言うかも知れません。

しかし、それはたまたまそうだった、というあまり再現性のない話です。債務整理、借金整理というのは自分や家族にとっての一大事、それを幸運に任せていいのでしょうか?

いいわけありませんね。自分の作った借金で悩み苦しむのは自己責任でそれはそれで仕方がない。しかしその借金の整理は自分の納得できる形で収束させたい、決まりを付けたいと思うのは正しい方向に踏み出す第一歩となります。

*****

もう一度申します。債務整理の成功失敗を決めるのは専門家の選び方、特に弁護士の選び方です。

債務整理について調べたり学んだりするのは、自分で債務整理の実務を額に汗して進めるためではありません。

借金に苦しむ自分に代わって、報酬に見合った専門的業務をきっちりとやってくれる専門家を選び出すためです。頼んだ後もその仕事ぶりを監視して、進捗状況や自分の意向に沿った処理をしてくれているかをチェックするためです。

※債務整理の専門家とは先ず債務整理を扱う弁護士や司法書士、そして任意売却という特殊な不動産業務を取り扱う不動産業者やコンサルタントを指します。

※このサイトは特定の有能な専門家を紹介するわけではありません。有能な専門家を自分で探し出す手助けをし、そしてまた有能・凡庸・悪徳専門家を見分けるための知識を提供するだけです。この先ご心配なくお進みください。

以下、代表的な専門家であり最も重要な役割を演ずる弁護士を例にして解説します。弁護士について言えることは他の専門家にも7割方該当するのでそんなつもりでお読みください。専門家の特定が必要な場合はそのように書きます。

それでは、幸運や他人任せではない債務整理、すなわち有能な弁護士を自ら選び出す方法を順を追ってご紹介してまいります。

最強ステップのご紹介

ステップ1(S1):現状を整理する・・・返済額の現状、将来収入の見通し他
ステップ2(S2):債務整理に関する知識を身に付ける
ステップ3(S3):弁護士の特性を理解する
ステップ4(S4):頼りになる専門家を選び出す
ステップ5(S5):お試し相談、決定、そして契約
ステップ6(S6):契約後の進捗チェック

面倒なようですが、あなたの借金総額、案件の複雑さ、経済的深刻度に応じて、理解の深さやお試しの回数を調整すればいいのです。しかし個々のステップの重要性だけは忘れないでください。

それでは、以下の本編にて各ステップを解説していきます。このページに従って債務整理の全容を大づかみしていただき、本線を踏み外さぬよう用心すれば債務整理、借金整理においてほどほど以上の成果を挙げられます。

私は趣味で囲碁を楽しみますが、欲張ると必ず負けます。欲張るとガードが甘くなりそこを突かれるのです。少し引いて、局勢を客観的に眺めほどほどの着手を選んで相手の付けいる隙を封じます。

なおステップ1はいわば借金の棚卸しなので、解説は省略します。それでは早速、ステップ2からどうぞ。

第2章:債務整理についての知識を身に付ける(S2)

まず5つある債務整理法を概観し、次にどういうケースでそれらを適用すべきなのかを見ていきます。

債務整理の5つの方法

任意整理、任意売却、特定調停、個人再生、自己破産の5つです。

任意と付いている最初の2つは裁判所の関与しない私的整理、個人再生と自己破産は裁判所による法的処理、特定調停はその中間で、裁判所は借り手と貸し手、双方合意への仲介役を務めます。

これら5つの債務整理方法、それぞれ特徴がありますが大事な共通点があります。それは債権者の了解を得て借金をまけてもらう、という側面です。そしてそれが上の5つ全てでブラックリストに載ってしまう理由でもあります(載ってもそれほど怖くはありませんが)。

それが他の債務整理方法、例えば住宅ローンのリスケジューリング、自宅の通常売却による返済金捻出などと異なる点です。いづれも借金自体をまけてもらうという側面がないので、このサイトの範囲外とします。

さて以下は個々の債務整理の概要説明です。より詳しい情報が必要なときは、ネット検索すればいくらでも出てきます。また本サイトでは、「債務整理法を比較!あなたの最適解はどれか?」のページで一覧表形式で比較していますので、それもご覧ください。

1.任意整理

比較的借金総額の少ない場合の方法。通常は弁護士を代理人として、経済的困窮を訴えて借金減額や返済方法を交渉します。借り入れ先が複数ある場合、交渉相手を選ぶことで連帯保証人への影響や親戚・知人との関係悪化を緩和できます。

一時期サラ金からの過払金の返還が話題になりました。今では返還訴訟は峠を越していますが過払金取り戻しがからんでいれば、目に見える成果が得られます。

任意整理体験談というこちらのサイト(2015年3月の記事)は臨場感があってとてもいいです。ちょっと脱線して覗いてみてはどうでしょうか。

2.任意売却

任意売却とは専門の任意売却業者に委託して、オーバーローン状態の自宅(自宅を売ってもローン残額を完済できない)の売却を条件に、抵当権外しと住宅ローン返済額の大幅減額を実現するものです。うまく行けば住宅ローン破綻回避の切り札になり得ます。

しかし任意売却を成功させるためには、不動産売買のノウハウはもちろん、金融知識や柔軟な交渉能力、そして顧客の利益と仲介業者たる自分の利益をバランス良く調整できる実務と営業の能力が必要になります。

つまり任意売却の成功と失敗は頼んだ任意売却業者次第、ということです。そしてその選びかたをこのサイトを通じて学んでいただきたい、とそう思うわけです。

3.特定調停

借金を負っていて経済的に破産するおそれがある人を特定債務者と言います。この特定調停はそういう特定債務者が簡易裁判所に調停の申し立てを行い、裁判所調停委員の威光と助けを借りて借金の減額を実現するものです。サラ金に対する多重債務の整理に利用される場合が多いです。

特定調停の一番の特徴は専門家を頼まないで自分で手続きをする点にあります。そのため費用は1万円ほどで済んでしまいますが、一方書類作成や交渉出席など個人的負担や労力は大きくなります。

特定調停は裁判所が関与するとはいえ調停委員の力量にも大きく影響されますし、基本はあくまで借り手貸し手の話し合いですから、交渉不成立や成果僅少に終わってしまうときも結構あります。

特定調停も任意整理と同様にサラ金からの過払金返還が関係すれば、借金の大幅減額が可能です。なお、特定調停をテーマにした当サイトの姉妹サイトがあります。そちらもご覧ください。

4.個人再生

民事再生という制度には、企業向けの通常民事再生と借金が比較的少額の個人や自営業者向けの個人民事再生の2つがあります。この中の個人民事再生を簡単に個人再生や民事再生と呼んでいます。

この個人再生ですが、法的処理ということから自己破産と並んでかなり強力な債務整理の手段となります。その特徴は、自宅は残したまま住宅ローン以外の借金を大幅に減額できる点にあります。

個人再生には住宅ローン特則というのがあって、住宅ローンとサラ金の多重債務に悩む個人を優遇してくれます。住宅ローン自体は減額されませんが、他の借金は1/5にまで減額、それを3年から5年かけて返済していくことになります。継続的収入がある人に最適な方法と言えます。

但しこの個人再生、到底個人ではできず弁護士等に委託しますが資料準備やら再生計画など、手続きが複雑なので弁護士の先生方にはあまり人気がありません。

5.自己破産

借金生活から逃れるようとすると、まず頭に浮かぶのが自己破産です。財産はほとんど無くなりますが、借金もゼロになります。人生の経済的側面を丸ごとリセットするイメージで、債務整理の順番的には「夜逃げ」の前くらいに位置します。

個人の自己破産手続きはほぼルーチン化されていて通常は特に難しいことはなく、労力のわりに報酬がいいということで弁護士にとっては好ましい借金整理法と言えます。

自己破産には、同時廃止、少額管財、管財事件の3種類あると覚えておきましょう。種類に応じて手続きに要する費用や期間が大きく違ってきます

※債務整理共通の留意事項

連帯保証人への影響

あなたの借金に連帯保証人を設定している場合は要注意です。その存在により採用できる手段が制限されたり、手続きが複雑化する場合があるのです。

また、以上の債務整理によってあなたの借金はゼロになったり減額されたりするのですが、基本的にその恩恵は連帯保証人には及びません。

任意整理や特定調停では、連帯保証人への影響を回避する手段があるのですが、個人再生や自己破産では、債権者の失った債権の矛先は連帯保証人に向かいます。連帯保証人に逃れるすべはありません。

連帯保証人への配慮を優先するのであれば、弁護士等専門家への相談時にその旨を伝え、親身な対応が得られそうか否かを弁護士選びのポイントに加えましょう。

手続き費用は基本的に前払い

大別して国に納める費用と弁護士等専門家に支払う費用(弁護士費用と略記)の2つがあります。

先ず国に納める費用の代表例が自己破産・少額管財のケースでの引継予納金20万円(同時破産で1万円、管財事件で50万円)です。

引継予納金は前払いが基本なので、自己破産申立てまでにその金額を用意しなければなりません。お金がなくて自己破産するのにこれはかなりの負担です。苦しい借金生活の中で貯金するとか、何かの方法で工面する必要があります。

次は弁護士費用です。例えば個人再生を弁護士に依頼するには通常、着手金として30万円程度が必要です。分割払いを受けてくれる事務所も結構ありますが、それだけで大事な弁護士選びを決断してはなりません。あくまで参考程度に考えるべきです。

ブラックリストや官報など

債務整理は本人の社会生活に大きな影響を及ぼすのは避けられません。5つの債務整理法の全てにおいて、その情報はブラックリストに載り借り入れやクレジット購入が難しくなります(ヤミ金は可能ですが)。

個人再生や自己破産では官報に掲載され、インターネット万能の今では通常目にしない官報をその気になれば誰でもネットで閲覧・検索できてしまいます。

借金の減免を伴う債務整理を選んだからには、その事実が世間に知られるリスクは大なり小なり存在します。大事なのは知られることが致命傷にならぬよう、そのデメリットを理解し普段から対応策や心構えをしておくことです。

しかしどのデメリットも恐れるほどではありません。本当に恐れるべきは、漠然とした世間体の悪さを考えて債務整理が後手に回り、更に状況を悪化させてしまうことです。そうしないためにも、正しい債務整理の知識を身に付けたいものです。

第3章:ケース別債務整理法の標準的選びかた(S2-2)

ケース1.住宅ローンの返済だけでも苦しい
・滞納も既に3ヶ月、このままではローン破綻の可能性ある
・自宅を売ってもローン残額を返せない(オーバーローン状態)

自宅や財産を残しながら債務整理するには個人再生がベストですが、個人再生は住宅ローンだけは減額されないので、残念ながらこのケースでは個人再生のメリットが出せません。

ローン滞納が数ヶ月続き将来好転の見通しもないなら、基本的には自宅を処分する任意売却を決断する時期です。

このまま滞納を放置すれば自宅はいずれ競売で処分され、結局自宅を明け渡すはめになります。そして返し切れなかった借金は残債としてまた返済を求めらます。

しかし「変だな、住宅ローン契約時に保証料を数十万円も払ったはずだが」、と思いになるかも知れません。確かにあの保証料は、借り手の返済パンク時に保証会社が借り手に代わって、ローン残額を融資銀行に弁済するための保証料なのです。そこまではいいのです。私自身も誤解していましたが、問題はその先です。

借り手は今度はその保証会社(及び債権譲渡を受けた回収会社)から一括返済を求められることになります。銀行は自らは保証料も払わず、債権を全額回収できるのです。何とも不思議な(詐欺的な)保証料なのです。

さて任意売却ですが、その実務は民間の任意売却専門家に委託することになります。有能な専門家であれば、あなたに代わって、

・持ち家を時価で売却する段取りをし、
・その売却代金を交渉分配して、銀行や後位抵当権者の抵当権を外してくれ、
・滞納税金の大幅減額や滞納しているマンション管理費を消滅させ、
・残った借金(残債)の返済方法を債務者有利にまとめあげ、
・引っ越し費用まで工面、

してくれます。任意売却業者は通常着手金不要、手数料は持ち家の売却代金から差し引かれる形なので、まとまったお金を用意する必要もありません。

なんかいいことづくめの任意売却ですが、もちろん注意点もあります。上記のように任意売却専門家は理想的にはオーケストラの指揮者のような役割を要求されるわけですが、そういう有能な(奇特な)不動産業者や任意売却コンサルタントは多くない、という事情があります。

任意売却には国家資格は必要ありません。不動産取引の宅地建物取引業の免許があれば充分です。ちまたには不動産業者向けに任意売却専門業者への転換を指導する高額ツールも存在し人気を集めていたりします。

以上、任意売却専門家の供給面では石がとても多い玉石混交状態にあり、ネットでも任意売却受託の広告が賑わいを見せる中、任意売却の成功と失敗は専門家の選びかたで決まる、と言えます。その選び方は当ページの後半でご紹介します。

ところで、現実的には任意売却で借金を減らしても残債が多く残って、結局自己破産となってしまうケースもあります。任意売却も万能ではありません。時間と労力を無駄にしないためにも、あなたの場合はどうなのか事前にたっぷりと吟味しましょう。

*****

ケース2.住宅ローンとサラ金の多重債務で苦しい
・住宅ローンの返済にサラ金やカードローンを充てたり、その他の生活費、遊興費も積み重なり自己破産やむなしと思い詰める日々が続いている

先ず、第1候補は個人再生です。個人再生の良いところは住宅ローン以外の借金がほぼ1/5に減らせることです。住宅ローン総額はそのまま残り、その他の借金も3年から5年以内に完済する必要はありますが、自宅を残しつつ、借金困窮生活からの脱出が見えてきます。

ただ、個人再生には2つの関門があります。先ず将来の継続的収入です。公務員や安定した職業に就いていれば問題ありませんが、収入不安となれば個人再生手続きは頓挫します。

次は手続きの複雑さと、再生計画など申請に要する資料作りの大変さがあります。その辺を面倒くさがらずに指導・補佐・助言してくれる弁護士や弁護士事務所に巡り会えるか、申請者本人に手続きと資料作成の労力に耐える気力があるかどうか、がポイントになります。

任意整理や特定調停はどうでしょうか? 答えはノーです。融資銀行は任意整理や特定調停にはまず応じません。担保を押さえているし、例の保証会社による簡便な全額回収の道が残されているからです。

住宅ローン返済の負担が軽ければその他の借金を任意整理や特定調停で検討する余地もありますが、サラ金過払金返還が無ければその効果も多くを期待できません。

残るは任意売却です。先ず任意売却で住宅ローンの負担を大幅に減額し、その上で残る借金を任意整理などでどれだけ減らせるか、それで返していけるかどうか。

その辺を任意売却業者や弁護士と入念な検討を重ねて実現性を判断します。その内容は債務者本人が充分に納得したものでなければなりません。そうでないと、当初目論見から大きくはずれ労力と弁護士費用だけ損をしただけに終わります。

そして選択肢がなくなれば最後は自己破産です。手続き的にも難しいことはなく、弁護士・司法書士選びにそれほど神経質になる必要はありません。費用的にも、債務者に財産がほとんどない場合に採用される同時廃止では、法定費用は1万円弱、がんばって自分で手続きすれば弁護士費用も浮かせます。

破産するのにがんばる、というのもどこか変ですが、夜逃げするよりずっといいはずです。

なお、自己破産する前に自宅を任意売却しておく、というのも場合によって有力です。自己破産前の任意売却は、引っ越し費用はじめ生活再建の上からはいくつか利点があるのです。

また連帯保証人がいる場合自己破産すると、債務者本人の債務は連帯保証人に向かいます。しかし住宅ローンの連帯保証人については自宅を任意売却することによって、連帯保証を外したり連帯保証人の責任額を圧縮できるのです。連帯保証人への影響回避を優先する場合には充分あり得る選択となります。

*****

ケース3.サラ金の多重債務で苦しい
・軽い気持ちで始めたカードローン、いつのまにか借金で借金を返す悪循環
・生活費補填や予想外の医療費・教育費が膨らみ今やサラ金の多重債務者
・ヤミ金利用は時間の問題

本題に入る前に、まず返済の完了した消費者金融、クレジット会社、大手デパートカードなどの貸金業者(便宜的にサラ金と総称します)への過払金の有無をまずチェックしましょう。自分でわからなければ司法書士に相談します。

もし払い過ぎていれば弁護士・司法書士を通じて、払い過ぎた利息を取り戻す「過払い請求」をします。一時期かなり有名になったこの過払い請求、実は債務整理ではないので信用情報に何の影響もありません。

さて本題の返済中のサラ金多重債務対策ですが、先ず任意整理特定調停が候補になります。過払金があれば大きく借金を減額することも可能です。

任意整理ですが、過払金の有無は別として、やはりお願いする弁護士・司法書士の誠意と力量が物を言います。任意整理はいわば、借金を人質にした交渉です。交渉が決裂すれば自己破産で返済はゼロになるとの含みを持たせた交渉です。

そういう厄介な話を面倒がらずにやってくれる、実績のある弁護士に巡り会えるかどうかが、任意整理のポイントになります。

次は特定調停です。特定調停は裁判所の力を借りて、自分でやる任意整理とも言えます。特徴は圧倒的な費用の安さですが、3つほど注意点があります。

・手続きは自分で行い、交渉に本人も参加するので時間的、精神的負担がかかる。
・調停委員は裁判所が手配するので本人は選ぶことができず、当たり外れがある。
・過払金がある場合、それを反映しない債権者に対して別途返還訴訟が必要になる。

又、住宅ローンがなくても継続的収入があれば個人再生も選べます。自宅も残せる強力な債務整理法なので、条件が合えば有力な選択肢となります。

そして、個人再生もだめとなれば自己破産、あるいは自宅やその他の資産があればそれを通常売却か任意売却してから自己破産することになります。

*****

以上、債務整理の概要をご紹介しました。借金やローンの返済に窮した → 即自己破産、ではないのをご理解いただけたと思います。自己破産の精神的ダメージは大きく(個人差はありますが)、それは最後の最後に残しておき、その前にできる限りの手段を尽くしましょう。

さて次は、あなたの債務整理を応援してくれる(はずの)債務整理の専門家、特に弁護士の特性について理解を深めます。弁護士は本当に法の番人で、どの程度相談者本位の対応をしてくれるのでしょうか?実例を交えて検証します。

第4章:弁護士の特性を理解する(S3)

債務整理で先ず一番お世話なる場合の多い弁護士に焦点を絞って、その考え方や行動パターンを見てみましょう。あなたの財産の処理にかかわる一切合切を委ねるのですから、通勤途上で看板を見たからなどと安易に選ぶべきではありません。

なお、債務整理では他に司法書士や任意売却業者、任意売却コンサルタントなどが登場しますが、そちらは分けて書く必要がある場合にのみそうします。

何度も言いますが、債務整理には成功と失敗があり、その多くは弁護士をはじめとした専門家の選び方と、任せきりにしない相談者の意識や態度で決まります。

借金で失敗し、また債務整理で騙される、失敗するなど、正に厳しすぎる人生です。そうしないために以下の記事では性悪説を採用し、人の善意を当てにせず、いかに騙されないかを基本として解説します。

視点を変えて見る弁護士像

弁護士を前にするとその呼称だけで威圧感を覚え、言いたいこと、聞きたいことの半分も話せないのが普通です。借金を抱えていれば尚更のことです。

しかし弁護士だからと言って常に法に照らして正しいこと、相談者の利益本位で
対応してくれるとは限りません。世の中には悪い弁護士もたくさんいるのです。

債務整理で弁護士にお世話になる前に、その思い込みをリセットしておくのが大事です。それから全てが始まります。以下の記事を参考にしてください。

弁護士業の収入実態・・・・・平成25年度国税庁統計による

・確定申告者数:28,263人(2013年10月の弁護士会員数は33,535人)
・平均年収:940万円・・・・・司法書士・行政書士は359万円、医師2,402万円
・年収500万円以下の弁護士数:11,952人(全体の42%)

約4割の弁護士が弁護士業だけでは家族を養えぬほどの収入しか得ていない、ということをまず覚えておきましょう。それに、弁護士や司法書士に望外の利益をもたらしたサラ金の過払金返還も今やピークを過ぎ、一部弁護士・司法書士のモラルを劣化させつつ(甘い汁の余韻)終わろうとしています。

あるいはデータが少し新しい2016年のこちらのサイトも参考になります。弁護士も一部の除きその生活は楽ではありません。

弁護士として法の番人、弱者の味方を貫こうにも、経済原則が働き面倒な案件は避けて効率のいい処理法を優先し、最善策があっても教えず、依頼された仕事をせずに着手金を返さないなど、残念な行為に走る弁護士が多く出現する背景があります。

弁護士先生だから間違いは無い、最善の手段で対応してくれるはずだ、との思い込みは頭から排除し上下関係のない法務サービスの提供者として冷静に見極めた上でお願いするようにしましょう。

弁護士の残念な対応の例

① 150万円の借金で弁護士に任意整理を依頼し、結果100万円の減額に成功したものの、弁護士への支払い総額が200万円で意味がなかった。

② サラ金への過払金450万円を取り戻せたのはいいが、弁護士費用として340万円を支払った。その後自己破産となったが、この弁護士は破産管財人から取り過ぎだと指摘され、120万円に減額した。

③ 自宅を残すべく個人再生の条件で着手金を払ったのに、個人再生の手続きをせず無断で自己破産を選択し自宅は競売となってしまった。

④ 個人再生を選び弁護士に相談、だめと言わずに引き受けてくれたので月7万円の10回払いで契約した。70万円の支払いを完了した後、競売通知が来てビックリした。弁護士に確認すると、個人再生は無理なので申請はしなかったと言う。そんなバカな・・・・・

⑤ 法テラスで債務整理を弁護士に相談、しかし後になって不動産業者から自宅売却についての連絡があった。調べるとその弁護士が知り合いの業者に任意売却を打診していた。自宅売却なんて想定外なのに勝手なことをしてと、弁護士不審になってしまった。

⑥ 自己破産を決意し弁護士に相談した。自宅ローンに親族が連帯保証人になっていたのでそれを外すため任意売却してからの自己破産と事前に伝えた。自宅残債は700万円、任意売却業者は900万円で売却可能、債権者も了解していると連絡してきた。
ところが、弁護士はなぜか売却額1500万円に固執、応じなければ契約を解除すると主張。結果任意売却は成立せず自宅は安値で競売に。そして残債の請求は連帯保証人に向かった。

⑦ ある弁護士に個人再生を相談したが自己破産を勧められた。予備知識があったので違う弁護士に相談、結果無事に個人再生ができた。最初の弁護士は手間のかかる個人再生を嫌ったか、手続きを知らなかったか。今思えばきわどい瞬間だった。

⑧ 通常親子間の任意売却は難しいのに、知ってか知らずかそれを請け負った弁護士。結果は不成功に終わり空しさだけが残った。

⑨ 知り合いから弁護士事務所を紹介され相談に行った。弁護士は外出中と言われ事務員が応対に出た。弁護士費用がないと言うと、後払いでもいいと言われ契約した。
その後、借金の督促は止んだがいつの間にか自宅が競売にかけられ、それを後で知った。事務所に連絡すると事務員のみの対応で、費用を受け取っていないので債権者からの資料は渡せないと言われた。弁護士会に連絡し、弁護士を解任した。

⑩ 2000万円の債務整理で東京の大手弁護士事務所に依頼、700万円の弁護士費用は毎月20万円の分割払いとした。それが500万円に達したときリストラに遭い住宅ローンも滞納、困って弁護士事務所に相談したが、費用支払いが完了していないのを理由に辞任されてしまった。自宅は競売処分となった。支払った500万円も戻らず、完璧に打ちのめされた。

以上ご紹介したケースは相談者から見て誠意の無い利益優先主義の悪い弁護士の例です。職業意識に徹した立派な弁護士に出会える場合もあるのですが、現実的には経済原則に従って最大値が悪い方に偏った分布をしているものと思われます。

さて次はいよいよ、どうやって有能な弁護士を探し出すかについての解説です。

第5章:頼りになる専門家を選び出す(S4)

弁護士の普通の意見

ここで少し債務整理を離れて、弁護士あるいは弁護士事務所というのはごく普通にどういうものなのか、次のサイトを参考にして基礎知識を仕入れましょう。

サイトには質疑応答形式で自己宣伝臭のない丁寧な20件の回答が掲載されています。そこから当サイトに必要な範囲でピックアップし要約して引用させていただきます。原文も是非確認してください。

豊崎弁護士の所属する東京ブライト法律事務所は企業法務から個人の法的紛争まで受託、とあります。原文中にも債務整理への言及があるので、充分に事務所のカバー範囲と思えます。

引用元サイト:失敗しない弁護士の選び方(弁護士 豊崎寿昌)

弁護士に専門分野はあるのか?

日本の弁護士は大多数が「何でも屋」、しかしいくつか専門分野として成立している分野がある。
① 渉外事件:契約締結等企業法務を専門に扱う。
② 知的財産権関係事件:特許紛争などを専門に扱う。
③ 交通事故事件:保険会社の顧問弁護士か被害者側の代理人を務める。
④ 破産、倒産関係事務所:大型の破産管財事件等を一括受託する事務所。
現実的には、一分野だけでの経営は苦しく「何でも屋」で仕事をすることになる。弁護士には専門認定制度がなく「専門分野」「得意分野」という広告表示は表示が認められていない。

その分野の専門の弁護士に相談しないと心配か?

必ずしもそうとはいえない。弁護士が弁護士たる所以は、「法律」を知っているからではなく、「問題となる法的解決方法を調査する方法」を知っているからとさえ言える。注意すべきは、その弁護士の調査能力のセンス。知らないことを知ったかぶりするのではなく、次回会ったときにきちんと調べて答えを見つけているかどうかだ。

大事務所の弁護士と小規模事務所の弁護士、違いは?

大事務所は大病院、小さい事務所の弁護士は町医者のイメージ、身近な病気(債務整理)に難病や大手術を扱う大病院が適切かどうか、を考えること。

若手弁護士とベテラン弁護士、どちらがおすすめか?

どちらにも長所、短所があり一概に言えない。

法律相談料はいくらか?

1時間で1万円が相場と思ってください。

あなたが相談した弁護士は信頼できるか?(ここは是非原文を参照)

次のような点を参考に判断するとよいでしょう。
① その弁護士は、あなたが取るべき手段、取りうる手段について十分説明してくれているか。
② その弁護士は、あなたに都合のいい話だけをしていないか。
③ その弁護士は、弁護士費用について合理的に説明してくれているか。

提携弁護士って何?

提携弁護士とは、紹介屋、整理屋と結託した弁護士のこと。提携弁護士は自分で仕事をせず、法外な報酬をせしめるトンデモ弁護士です。敬遠すべき弁護士です。

提携弁護士を見分けるポイントは?(ここは是非原文を参照)

8個のチェック項目で3個以上該当すれば、提携弁護士の疑いが濃厚。

失敗しない弁護士・司法書士の選び方

それでは現実に戻りましょう。個人の債務整理における弁護士の見分け方です。神様ではないのでこれらの項目全てを満足する弁護士はいませんが、できれば自分なりの許容範囲を決め「お試し」を何度かやってお願いするかどうか決めるのがベストです。

債務整理を依頼したい弁護士の特徴

・弁護士本人が対応してくれる
・わかりやすい説明をしてくれる
・債務整理の知識経験が豊富
・処理が迅速で的確
・債務整理手続きの工程表を示してくれる
・優柔不断ではない
・費用の説明が明確で文書で提示してくれる
・誠実な人柄が見てとれる
・もちろん提携弁護士ではない

債務整理を依頼すべきでない弁護士の特徴

・とにかく契約最優先で、できないことをできると言う
・弁護士本人ではなく事務員しか会ってくれない
・進捗状況を聞くと不愉快そうにする
・十分な資料もないのに断定的な結論ばかり言う
・費用の説明が不明瞭ででどれだけかかるのか見通しがたたない
・あまり話を聞かず自己破産を勧めてくる
・直ぐに訴訟をやりたがる

依頼者側の心構え

・弁護士選びはそれ自体がリスクと考える
・複数の弁護士に会ってお試しをする、手間をかけてから決める
・着手金を払えば仕事をしてくれている、と思わない → 進捗をチェック
・依頼した内容で動いてくれている、と思わない → 進捗をチェック
・相談者の利益最優先で処理してくれる、と思わない
・着手金は本来、戻らないもの → 契約時点の弁護士選びが大事
・ある程度知識を持って相談に臨む → 債務整理法の種類と特徴、弁護士選びの知識
・弁護士選びの失敗は修復困難なので慎重に選ぶ
・どう困っていてどうしたいのか、メモにして持参する
・大手事務所だから安心、と思わない
・目に余るひどい弁護士には紛議調停という手段があることを覚えておく

債務整理は弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか

まず司法書士の業務内容、権限などを見てみましょう。制度として通常の司法書士と法務省の認定を受けた認定司法書士の2つがあります。当サイトの記事「自己破産で弁護士と司法書士・頼むならどっち?」から該当部分を転載します。

■ 司法書士:法務省が実施する司法書士試験に合格し、司法書士会に登録して登記・供託業務を行う。

■ 認定司法書士:法務省の認定を受けた司法書士で、140万円以下の民事事件の相談・交渉・和解をする権限、及び簡易裁判所での訴訟の代理をする権限がある。

このように認定司法書士は債務処理での交渉や訴訟代理が可能なので、弁護士と同等の権限があると考えがちですが実は上記のように一部の民事事件に限るとの制限があります。

複雑な事実問題や法律問題がある事案、事実問題・法律問題を相手方が争っている事案などは司法書士の能力を超えており、司法書士が扱うに適していないことまず理解しておきましょう。

なお、法務知識や権限の面では両者には比べようもない差がありますが、権限に問題が無ければ有能な司法書士はダメな弁護士より優れているという面もあります。

ケース別専門家の選び方

以下、債務整理の種類ごとに考えてみます。

.任意整理
基本的に弁護士対応、司法書士も可。確かに弁護士という呼称の重みはあるので、借金総額や債権者の手強さ加減で判断します。

認定司法書士の140万円の壁ですが、これは1金融業者社当たりの経済的利益の額です。例えば過払金返還で200万円が戻ると計算できたとしても相手から司法書士の権限外と指摘されたら、弁護士に変更するか返還金を140万円でガマンするかの選択になります。更に性悪説を徹底するとその司法書士は相談者に内緒で140万円以下の計算書を出して来るかも知れません。

但し過払金もなく金額の少ない少額案件では弁護士ではなく、地域に密着した司法書士の利用も十分あり得ます。

2.任意売却
任意売却業者の選び方には弁護士選びとは別の慎重さが必要なので第6章で解説します。自己破産とからんで弁護士から任意売却業者を紹介されることがありますが、その際は注意が必要です。

3.特定調停
特定調停は専門家によらず自分で行う任意整理と言えるもので、本来専門家選びは対象外です。しかし債権者の出してきた過払金の計算確認や返還請求訴訟など、必要に応じて司法書士や弁護士に相談するのはよいことです。

4.個人再生
個人再生は5つの債務整理法の中で、最も手続きが複雑で作成資料も多いです。そのため弁護士は個人再生ではなく自己破産を勧めがちですが、やっぱり個人再生は基本的に弁護士にお願いしましょう。

個人再生の申立ては地方裁判所に対して行いますが、司法書士は地裁に対しては代理人になれません。したがって、司法書士依頼の場合は司法書士が作成した書類を使って本人が申立てを行うことになります。

これが地方裁判所とのやりとりは全部自分でやるという労力だけの問題ならまだいいのですが、別の問題もあります。

代理人を立てずに本人が直接裁判所に申し立てた場合、裁判所の判断で個人再生委員というのを別途選任することがあるのです。個人再生委員は弁護士から選ばれ、個人再生手続きを監督する役目を担います。

その費用は15万円から20万円、それを合算すると最初から弁護士に頼んだ場合と差が無くなります。

5.自己破産
ズバリ、弁護士です。

・裁判所と連携してこういう仕事を処理するのが弁護士の役目、と考えましょう。とにかく債務処理では裁判所と弁護士は相性がいいのです。個人の自己破産処理のほとんどは紛糾することもなく、個々の弁護士選びにそれほど神経質になることはありません。ポイントは弁護士か司法書士かです。司法書士でもできますが、基本的に司法書士を選ぶ理由はアクセスの良さ以外あまり見当たりません。

・地方裁判所に申立てするので代理権のない司法書士への依頼では、個人再生と同様いろいろと面倒な点があります。

・東京地裁など一部の裁判所では、弁護士依頼なら「即日面接」のメリットがあります。通常申立ての日から1ヶ月ほどかかり本人の出頭も必要な「破産手続き開始決定」が自己破産の申立てをした当日に完了してしまいます。

・同じく東京地裁など一部の裁判所のみの対応で、弁護士依頼なら「少額管財」」のメリットがあります。少額管財では裁判所に納める予納金を20万円に減額できます(管財事件では50万円。)

専門家の探し方

以上、長々と記事を書いて来ましたが、債務整理で本当に大事なのは専門家の選び方と以下にご紹介する専門家の探し方です。それで勝負は8割がた決まってしまうのです。この部分にあなたの知恵と労力を注ぎ、お金をきっちりとかけるのです。数万円の調査費用を惜しんではなりません

弁護士の探し方

弁護士会の法律相談センター

各県の弁護士会は各県に6カ所前後の法律相談センターを設けており、そこで相談したり、弁護士の紹介を受けたりできます。相談は有料ですが、サラ金関係では無料の所もあります。弁護士会主催ですから提携弁護士のような評判の悪い弁護士に当たることはないはずです。

日本弁護士連合会のサイトから「法律相談のご案内」 →「全国の弁護士会の法律相談センター」と進んで居住地区付近の相談センターを選ぶことになります。

法テラス

法テラス(日本司法支援センター)とは国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」で、全国にある法テラス法律事務所が債務整理の相談にも応じてくれます。

債務整理などの法律相談は法テラスが雇用するスタッフ弁護士の業務で、相談者の収入が一定以下ならば無料相談の制度もあります。

法テラスは民間の法律事務所が扱いたがらない「経済的に見合わない案件」も受任できる特徴がある反面、スタッフ弁護士は給与制なのでやる気のないサラリーマン弁護士もいるとの評があります。それを承知の上で相談や「お試し」をしてみましょう。

法テラスのサイトから「相談をご希望の方へ」 → 「お近くの法テラス」と進みます。

地元市役所の法律相談

地元で弁護士が見つかる、アクセスが抜群、評判の悪い弁護士は既に除かれているなどの利点があります。しかし便利だからといって選択眼が曇り、なんとなく契約まで進んでしまうのはお勧めできません。しっかりと見極めましょう。

インターネットの無料相談サイト

このブログでも何社かご紹介している無料相談サイトを利用する方法です。ネットの無料相談サイトには当然悪徳弁護士や利益優先弁護士も混じっています。

派手な広告に惑わされず、メールでのやりとりだけでなく弁護士本人に必ず会って感触を確かめ、他と比較し、できればお試しもして、その上で契約しましょう。

お試しとは例えば、無料でも有料でも解決策を提案してもらい、それを吟味することです。着手金を払い契約してしまってからの提案ではリスクが大き過ぎます。

司法書士の探し方

ガイドとして活用できる良いサイトがあるのでそれをご紹介します。
参考サイト:司法書士相談.comの「司法書士の探し方

第6章:頼りになる任意売却業者を選び出す(S4-2)

さて次は任意売却です。任意売却は特に資格は要せず、極端に言えば誰でもできます。そのためネットで検索すると任意売却は正にブームの如く、取り扱い業者が多数ヒットします。

しかし業者が任意売却を完遂するには(理想的には)タイトなスケジュールの中で物件の買い手を探し、手ごわい銀行を相手に残債を値切り、後位抵当権者と交渉し、税金滞納があればその面倒を見、連帯保証人がいればその調整もし、引っ越し資金を捻出し、抵当権抹消など登記を済ませ、残債の返済方法まで目を配る、実に骨の折れるそんな仕事が必要とされます。

更に任意売却業者の業務範囲も明確に決まっているわけではなく、業者間に大きな隔たりがあります。ひどい時には「銀行との交渉はご本人様の方でお願いします」などと手抜きをする業者もあったりします。

というわけで、任意売却の成功と失敗は業者の選び方でほとんど決まってしまうと言っても過言ではありません。以下、任意売却業者の選び方と探し方についてまとめました。

任意売却についての知識を深める

このサイトの姉妹サイトで任意売却を詳しく解説しています。できればその記事を全部読んで任意売却についての知識を仕込んでおくようお勧めします。その知識なしでは業者の能力や健全性を正しく判断するのは困難で、ただ運を天に任せるしか無くなります。

参考サイト:ローンがあっても自宅は売れる・賢い任意売却利用術

任意売却:資金配分とはどういうこと?」などから読み始めるといいでしょう。

任意売却業者の選び方

・不動産業者がついでにやる任意売却ではなく、任意売却を専門とする業者か?
・地元の不動産の相場観を把握しているか?
・業者の提案内容から判断して、その業者に能力や誠意が見られるか?
①上述した理想的な任意売却のステップをどの程度、理解し網羅しているか
②売却予定価格に無理はないか・・・・・何社か他の任意売却業者と比較してみる
③タイムスケジュールに無理はないか
④任意売却のリスクを折り込んだ提案となっているか
※任意売却が不成立となった場合、競売となる可能性が高い
・競売など法的手続きにも充分な知識があるか?
・宅地建物取引業免許を持った正規の事業者か?
・経験年数や任意売却取り扱いの件数は充分か?
・住宅ローンの1位抵当権者が地方銀行の場合、交渉のノウハウがあるか?
・税金滞納による差し押さえがある場合、解除の難しさについて承知しているか?

任意売却業者は無料相談を設けているので面倒がらずに複数業者を訪問し、これぞといった業者に絞り込んでいくことになります。優秀な任意売却業者選びには時間がかかるものです。

市況低迷の不動産売買の救世主として任意売却を手がける不動産業者が増えています。資格制度の整った弁護士とは異なり、任意売却業者は正に玉石混交、何でもありの世界です。大損しないよう気を付けましょう。

任意売却業者の探し方

インターネット利用の検索

任意売却+県名で検索すれば、数多くの業者がヒットします。派手な営業トークに気を付けて何社かピックアップして実際に訪問し、信頼するに足る業者かどうか感触を確かめます。

弁護士・司法書士の紹介

弁護士から紹介された任意売却業者だからといって無条件に信用し決めてしまうのは危険です。あくまで選択肢の1つと考えます。

債権者の紹介

当然、債権者の方を向いた仕事をすることになるので要注意です。

公的団体を装う団体の紹介

任意売却業者には公的団体はありません。NPO法人や任意売却連合会などの名称で中立性をアピールしていても、その紹介する業者をそのまま信用することのないようにしましょう。

第7章:お試し相談、決定、そして契約(S5)

さて、これぞと思える弁護士や司法書士、任意売却業者が見つかったら次は、トライアルで相談して候補を絞り込んで行きます。

無料相談では回答内容も限定されるので、時には1時間1万円程度の有料相談も考慮しましょう。数万円の出費は痛いですが、それだけの成果は必ず得られます。

お試し時の注意

・弁護士本人との面談を条件にする
※人柄や相性を見るのもお試しの重要ポイント
・面談に不安な時は知人に同行してもらう
※事前に弁護士の了解を得ておく
・何をどうしたいのか相談内容を明確にしておく
・経緯が複雑なときはメモにまとめて持参する
・自分に不利なことも隠さずに伝える
・聞きたいことを整理しメモにして持参する
・手元にある関係書類(督促状など)を取りあえず持参する
・チェック事項
①費用が他と比べて高すぎないか
②必要期間が他と比べて長すぎないか
③進捗状況の確認方法

契約時の注意(お試し時の注意に加えて)

・事前に弁護士資格を確認しておく
※所属弁護士会に電話して、その弁護士の事務所の所在地住所、電話番号等を聞く
・無用と思えるものも含めて関係書類を全部持参する
・着手金、報奨金など費用も含め委任契約書の内容をよく確認してから署名捺印する
※場合により自宅に持ち帰って吟味してから契約する
・契約時点では報奨金は全部明確にできないことがあるのを理解する
※それがいつどの様に決定されるのか聞いておく
・今後の予定を確認する。できれば文書になっているものが望ましい
・弁護士に依頼した後は相手方と独自の交渉はしない
・着手金不要、委任契約書もないという状況での業務委任はかなり危険と承知すべき
※業務委任の証拠が無ければ放置され手遅れとなっても立場は弱い

なお、住民票など債務整理に必要な帳票類は次のサイトを参考にするとよいです。

参考サイト:債務整理を相談・依頼する時必要な書類は?

第8章:契約後の進捗チェックと留意事項(S6)

さて弁護士や任意売却業者との契約も完了すれば、あなたの債務整理の歯車が実際に動き出すことになります。しかし専門家に任せた以上もう安心と思ったり、先生を督促するみたいで気後れを感じ進捗確認が後手に回りがちです。

手続きや交渉で本当に必要な期間ならまだいいのですが、依頼した専門家が単に業務多忙か怠慢で放置している場合もあります。

手続きがいつのまにか依頼した内容から脱線し、個人再生が自己破産になってしまったケースもあります。弁護士は代理人の資格によって何でもできてしまうのです。

進捗確認したいけど実際にはなかなかできない、実に気がもめるものです。ある著名な法律事務所はこんなニーズに応え、任意整理,過払い金返還請求に限って、PCやスマホを使ったオンライン進捗確認を取り入れています。

最後の締めくくりとして専門家選びの次に大事なこの契約後の進捗チェック、それと契約後に依頼者が注意すべき点をまとめました。

契約後の注意

・目安として月に一度は進捗確認(電話とかメールで)
※今は何をやっているのか、何を待っているのかを把握しておきたい
それだけでも随分と安心できるものです
・弁護士に依頼した後は相手方と独自の交渉はしない
・契約後は他の弁護士に相談しない
・新しい事実や証拠が出てきたら弁護士に伝える
※そのタイミングで進捗を確認できる

第9章:債務整理専門家選びのまとめ

債務整理のため弁護士や専門家を選び依頼するというのは、家の新築を工務店やハウスメーカーに依頼するのと似たところがあります。

大事なことなのに、わりと簡単に選んでしまって後になって後悔するというケースです。そうしないためのポイントは2つ、あります。

先ず宣伝文句に惑わされず、よーく調べてある程度自分が納得してから、選ぶと言うことです。そして第2のポイントは選んで契約した後も進み具合やその内容に関心を持ち続けることです。

折を見て現場を訪問し出来映えを見たり質問したりして、現場の人から「なかなかうるさい客だな」と思われる程度がちょうどいいのです。

債務整理を成功と失敗は、自分なりに正しい知識を持って適切な専門家を選ぶことで8割が決まる、その後のフォローで2割が決まるというのがこのサイトの主張です。

成功への材料はこのサイトにほぼ揃っています。是非活用していただき、将来の見えない借金生活からの脱出を成功させてください。

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