任意売却 (1):他との比較で浮き出るメリット
思い切ってローンで自宅を購入したものの、いろんな事情で住宅ローンの返済が困難になるときがあります。「このまま家計が改善しなければいわゆるローン破綻だ、子供の教育だったあるしなんかいい方法はないものだろうか?」
そんな時是非お役に立てていただきたいのが任意売却です。
任意売却とは?
不動産取引はほとんど全て任意で売買するもので、その意味で通常の不動産取引と変わりはありませんが、業界では任意売却という言葉は特別な使われ方をしています。
任意売却とは借金の返済に困った人が債権者と交渉の上、担保物権を売却して売り上げを債権者に渡し、その額では全額返済にならないがそれで了承してもらう取引です。債権者が「損をするが強制競売ではもっと損」と考え、債務者が「この方法なら信用に傷がつかない」と考える時に成立します。
もっと簡単に言いますと、自宅の処分代金ではローン残高を全額返済できないときに利用するもので、ほとんどの場合、債権者の同意を取り付ける専門家が債務者との間に入って調整と交渉を行います。
専門家とは任意売却を主に扱う不動産業者・コンサルタント・弁護士などで、ローン残高を大きく減らしたり、場合によっては実質的にゼロにできたりします。
なお、他の借金整理法として「任意整理」というのがありますが、それとは内容的にかなり異なります。今回のテーマである任意売却は、そもそも処分する不動産がある場合に検討するものです。任意整理は、例えば こちらのページをご覧ください。
それでは早速、住宅ローンの返済が難しくなった時どのような方法があるかを見てみましょう。
住宅ローンの返済が難しくなったら …
■ 銀行と協議して返済を続ける・・・・・自宅は継続して所有
返済期間延長(リスケジューリング)が主なもの。いわゆる返済の先延ばしです。先々の家計好転が見えているなら検討する価値があります。
■ 個人再生という公的制度を使う・・・・・自宅は継続して所有+官報掲載+ブラックリスト
住宅ローンの他にも借金がある場合に有効。住宅ローンのリスケジューリングに加えて、他の借金は1/5に減少。今後とも継続的収入を見込め、自宅を継続所有したい人に向いています。
■ 任意売買で自宅を売る・・・・・ブラックリスト+自宅は失う
住宅ローンの返済がストップしてから3~5ヶ月たつと、銀行はあなたに見切りをつけ保証会社からローン残債の全額を回収します。今度は保証会社が新たな債権者となりあなたに残額の一括返済を求めてきます。
その段階で利用するのが任意売却、何もしないと条件の悪い競売で家を失うことになります。
ローン返済滞納者は他にも借金を抱えているケースが多く(税金滞納など含め)、任意売却では専門家が間に入ってあなたの家の売却益配分交渉を行い、借金の整理を後押ししてくれます。
任意売却でも借金は残りますが、競売と比べて返済額・返済条件などが随分と楽になるのが普通です。
注意点を一つ。債権者はいつでも任意売却に応じてくれるわけではありません。ローン返済を数回滞納して銀行から全額回収は不能と判断され、ブラックリストに載って初めて任意売却が可能になる点です(それまでは相手が話に乗ってこない)。
別の言い方をしますと、ほとんどの場合ブラックリストに載るほど状況が悪化しないと任意売却は使えない、そういうことになります。
■ 自己破産・・・・・自宅含め財産没収+連帯保証人への負債移転+官報掲載+破産者名簿+ブラックリスト
もう夜逃げするしかない、ぐらいの状況で頼るべき法的制度。借金を全てリセットし再出発できます。
■ 親戚・知人に買い取ってもらう・・・・・自宅は失うが継続して住める
そういう人を自分で探しローン残高で買い取ってもらう。その上で家賃を払い住み続ける。条件が合えばなかなか有望な案と思えます。
■ 何もしない・・・・・自宅を競売で失う+数回の滞納でブラッリスト
住宅ローン返済の督促やら通知を無視し何のアクションも取らない。その結果、競売という不利な条件で自宅が処分され、やがてその物件から退去を求められます。
このサイトの任意売却の分類では、少しわかりにくい任意売却のメリットやデメリット、利用法などを解説していきます。