任意売却 (7):忘れてならない任意売却リスク

最近、任意売却というマイホームのローン精算法が世に知られ利用する人も増えてきています。

確かに将来の競売が視野に入っている程の状態であれば、できるだけ早期に任意売却を考え再出発に踏み切った方がいい場合が多いのは事実です。

しかし、この先何十年も続くローン返済を考えると気が重く、もう自宅はいいから処分して無担保の借金を少しづつ返していけばいいと安直に考え、任意売却を選ぶというのはお勧めできません。

任意売却は語感はソフトでも、実質上は「どうしても約束した借金返済ができないのでなんとか助けてください」という 白旗上げた降伏宣言 なのです。そしてそれは特定調停、個人再生、自己破産という裁判所がかかわる債務整理と似た内容を持っています。

こういう事情なので、金融機関も気軽に利用されたのではたまりません。あなたの経済状況を細かく調べできるだけ多く取り戻す算段をするはずですし、連帯保証人がいれば請求はそちらに向かいます。

任意売却のリスク、今回はそれをまとめてみました。

任意売却交渉の不成立・多額の残債

債権者たちはあなたの困窮度を判断して、当然ながらできるだけ高額の配分を得ようとします。余裕があるのに安易な考えで任意売却を選んだ兆しが見えると配分交渉は難航します。

特にローンを数社から借りている場合、任意売却では2番抵当権者、3番抵当権者への配分はわずかなものです。それによっても交渉は難航します。

結果として任意売却不成立となってあなたの目算ははずれ、任意売却を請け負った不動産業者も成功報酬を得られず完敗となります。

そうなっては営利目的の業者としてはたまらないわけで、何とか調整して交渉をまとめあげようとします。そして結果として成立した任意売却契約、その月々の残金返済額は競売の場合とほとんど変わらなかったりします。

連帯保証人

今は保証会社利用なのでローン契約時に連帯保証人を立てることは少なくなっていますが、場合により金融機関から要求されることもあります。我が家は夫婦合算収入でローン契約したため、お互いに連帯保証人になっていました。連帯保証人の理不尽さを知った今考えると実におそろしいことです。

連帯保証人引き受けに伴う問題についてはこちらのサイト:借金の保証人:その責任と対抗策は?をご覧ください。

連帯保証人がいる場合、任意売却に新たな難しさが加わります。例えば債権者は任意売却に際して連帯保証人の同意を求めてくるのです。

任意売却交渉によって残った残債をローン契約者本人が返せなかった場合、代わって返すべきは連帯保証人だからです。連帯保証人としてそんなに安く物件が処分され、そんなに多くの残債が残ったのではたまらない、というわけです。

ブラックリスト

任意売却するからブラックリストに載るのではなく、ローンを半年ほど滞納してブラックリストに載って初めて任意売却ができる状況が整う、ということです。

借金返済に困った時の任意売却ですが、ブラックリストに載るのが条件であるような任意売却、決して軽く考えてはいけないと思います。

このページの先頭へ