任意売却 (8):任意売却:専門家を選ぶポイント
煩雑な手続きや金融機関との交渉が必要な自宅の任意売却ですが、自分でやるのは普通の人にはまず無理です。加えてローン滞納中の金融機関とはいわば敵対関係にあり、当事者同士の話し合いがうまく行くとはまず考えられません。返済条件の変更(リスケ)どころの話ではないのですから。
そこで、不動産業者や任意売却の専門コンサルタントなどに相談したり代行を依頼することになります。今回は、相談相手や代行業者を選ぶ際のチェックポイントについてまとめました。
選ぶ際のチェックポイント
任意売却に不慣れな業者は避ける
こちらの記事「資金配分とはどういうこと?」からもわかるように、任意売却では資産配分のための多方面との交渉、融資関連の知識、短期間での売却など、特有の知識や経験が必須となります。インターネットや初回相談の中でその経験と能力をチェックします。
残債務への対応について説明のない業者は避ける
任意売却での売却完了後にも残債務が残ることがあります。残債務の返済は生活再建のカギとなるのでその辺の対応力を見極めます。通常の不動産業者では、そこまでは知らないで終わりでしょう。
相談者に負担をかける業者は避ける
任意売却を依頼した業者の中には、進行状況を連絡してこない、銀行との交渉はそっちでやって欲しいと言う、競売直前に任意売却は不成立でしたと報告してくる、そんな業者もたくさんいます。
時間の制約もあるので、業者を途中で変更するのは現実的ではありません。後になって泣きを見ないよう、どこまでやってくれそうかよく事前確認してからにします。
補足:弁護士に相談するときの注意
住宅ローンやなにやらで借金が返せそうにない、もうだめだ、ということで自己破産を念頭に弁護士に相談するケースがあります。
多くの弁護士先生は面倒な任意売却のことは知っていても、相談者の意向であり、また相談料が確実に手に入る自己破産に沿って対処法を進めがちです。
先に任意売却の検討を勧める先生もいますが、既成事実のように自宅は競売となってしまうケースが少なくありません。そういった場合は二つの問題があります。
1.自己破産せずに対処できた可能性
このサイトでご紹介している通り、全く不利な条件となる競売と違って任意売却を利用すれば、オーバーローン状態の自宅を処分して借金を大幅に圧縮できる可能性があります。そして自己破産を回避できたかも知れません。
また自己破産の場合、連帯保証人を立てていれば債権回収の矛先は容赦なく連帯保証人に向かいます。その迷惑ははかり知れません。
2. 自己破産の手続き費用と期間圧縮の可能性
自己破産は、自宅など財産がある場合と無い場合で手続き費用が大きく違います。自己破産の前に自宅を任意売却して身軽になっておけば、「同時破産」という制度を利用して予納金という費用を50万円低く抑えることができるのです。
どうせ破産するから同じというのではなく、予納金は前払いなので予納金がないと自己破産の申し立て自体ができません。親類から借りたり、自分で積み立ててから申し立てることになりますが、この状況はなんともみじめです。他に弁護士費用も必要となります*。
※弁護士費用は収入次第で法テラスの立替援助制度を利用できます。立替なので後で返済する必要があります。
それでは、住宅ローンを抱えたままの借金苦、どういう順序で何をすればいいかを考えてみます。先ず、信頼できる任意売却専門の不動産業者やコンサルタントに相談して、任意売却したらどうなるか専門家の意見を聞くことです。残債務の返済まで視野に入れましょう。
その結果、任意売却でも多額の残債務が残りそうだとか、あちこちのサラ金借金があるとかの事情があれば、そこで初めて弁護士に相談すればいいのです。弁護士への相談では任意売却相談の情報を持って、面談に臨みましょう。
任意売却の手続きと同時進行でもいいのです。先生のいいなりではなく、それも一つの意見として総合的に判断して、ベストな方法を選択したいものです。