自己破産:やっぱり車はダメなのか?
借金整理を考える時に特に気になるのは車、マイカーですね。地方においては生活と通勤の必需品であると同時に、車の有無は他人に知られたくない経済的苦境のサインともなってしまいます。
また車そのものや運転が好きで車だけは手放したくないと考える人もたくさんいます。そこで今回は借金整理の種類ごとに、車の扱いがどう変わるかについてまとめてみました。
任意整理と車
任意整理は消費者ローンの過払い金返還で有名ですね。まず自分名義の車には何ら影響は及びません。
ローン返済が残っている車の場合ですがこれも継続して利用が可能です。
任意整理の特徴の一つとして、借金した相手を選んで整理することができるというのがあります。わざわざローンの貸し手である信販会社や販売会社を借金整理の相手に選ばなければいいだけです。
特定整理と車
特定整理は任意整理に似ています。主な違いは、特定整理は弁護士を立てずに自分で手続き行うので費用をかなり圧縮できる点にあります。ただし、過払い金返還は対象外となります。
車の扱いについては、任意整理と同様にローンの貸し手を借金整理の相手から除外するだけでよく、車は継続して使えます。
個人再生と車
個人再生はマイホームを特に意識した借金整理法です。
・マイホームを残すことができる
・住宅ローン以外の借金を大幅に減らすことができる
・資格制限がない(自己破産と違って就業上の制限がない)
・住宅ローンの返済計画を見直すことができる
・ギャンブルや浪費が借金の理由であっても問題なく手続きができる
などの特徴ですが、車については自己破産と同じく厳しいものがあります。
査定額20万円以上の車は没収されてしまいます。ローン返済中の車は名義人(信販会社など)に返さないといけません。もちろんローンは返済不要となります。
ただし、新車から6年以上経っている場合は、よほど高級車でない限り資産価値ゼロと判断される扱いになっているため、査定の必要もありません。
ここで原則、と書きましたが実は車を返さなくていい場合もあります。このページの最後の方をご覧ください。
自己破産と車
査定額20万円以上の車は没収、ローン返済中の車はローンの返済無用、車は原則的に返却となります。
ローン付きでも車を手元に残せるケース
なぜ残せるのか?
ローン返済中の車の所有者(名義人)はオリコやトヨタファイナンスなどの信販会社の場合と、ネッツトヨタやホンダカーズなどの販売会社の2種類があります。どちらに設定すべきかについての明快な業界ルールは無いようです。
そして興味深いのは、名義人が信販会社の場合は車を信販会社に返す必要がありますが、販売会社の場合は返却の必要なしとの最高裁の判決が出ているのです。
というわけで、一度車検証をチェックしてみましょう。「所有者の氏名又は名称」の欄に販売会社の名があれば返却不要というわけです。
※この名義人の種類による車の返却要・不要については、全国の弁護士に共通の判断なのかどうか不明なので個別のケースで弁護士に確認してください。
※軽自動車の場合は扱いが異なリ、ローン返済中の軽自動車はほぼ確実に召し上げられるようです。
残せても次なる問題が発生
しかし、この段階で返却不要となっても別の問題があります。返却せず手元にあるということは財産があるということで、その場合は破産処理として費用・期間・手続きとも負担の大きい管財事件になります。
管財事件となって結局は車は差し押さえになり、また管財事件の予納金40万円の余分な出費、管財事件裁判の精神的負担などを考えると、車に振り回されてとても現実的な対応とは言えなくなります。
残る選択肢
■ その1:ローン残金が少なければ親戚や知人に肩代わりをお願いしてローン支払いを続ける方法。ローンの貸し手や弁護士がどう言うかわかりませんがそこは交渉次第。過去のローンの返済分がムダにならずに済みます。
■ その2:20万円以下の中古車を取得する。工夫や熱意次第で実用性も高く乗って楽しい車に出会えます。
走行距離10万キロ以上の手入れの行き届いたロングセラー車や、5年以上前の年式の不人気車などがお勧めです。
私は走行14万キロ・平成11年式のアリストというヤンチャ車に乗っていますが、車自体の作りが丁寧でほとんど故障がありません。ブレーキパッドなど消耗品は非純正品を使用、いまだに熱血オーナーがいて交換の仕方などはネットで直ぐ見つかります。
軽自動車もいいですが、中古価格が高すぎまた生きる意欲さえ奪ってしまいそうなので考えものです。