自己破産:弁護士依頼で得られるメリット
自己破産など人生で何度も経験することではありません。実際に破産申立てをする段になると知らないことばかり、そこで多くの経験を積んだ専門家のノウハウに頼ることになります。
専門家としては弁護士と司法書士の両先生がいますが、ここでは自己破産の手続きを弁護士に依頼した場合のメリットについて解説します。なお、もう一方の専門家である司法書士との違いについては「自己破産で弁護士と司法書士・頼むならどっち?」を参照ください。
弁護士依頼で得られるメリット
借金取立の即時禁止
自己破産の手続きを弁護士に依頼した段階で、弁護士は各債権者に対して債務整理の依頼を受けた旨を伝える受任通知を発行します。これにより借金の取立はぴったり停止します。
違反すると2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金ですからその効果は絶大です。そして受任者が弁護士と知り、債権者は対応を微妙に変えてくるわけです。
書類作成と申立て
申立書などの書類作成では、弁護士は最終目的である免責や訴訟の可能性なども視野に入れて書き方をアドバイスしてくれます。
即日面接
即日面接とは、弁護士が代理人となって破産手続き開始の申立てをした場合、申立ての夕方(通常5時)には破産手続き開始の決定がなされる、というものです。申立人の同行は必要ありません。
弁護士が作成した書類なので信用性が高いというのがその理由で、即日面接になると通常終了まで3~4ヶ月かかる同時廃止適用の破産事件が1ヶ月ほど短縮される効果があります。
管財事件の特別処理・少額管財
破産申立人に財産がある場合は管財事件となり、引継予納金という法定費用が50万円ほど必要となります。少額管財とはこの費用の軽減と最低1年を要する手続き期間の短縮を目的として、一部地方裁判所で運用されている制度です。
少額管財は弁護士が代理人になっていることを条件に引継予納金が20万円まで減額され、所要期間も約半年となります。
端的に言いますと、「破産管財人を選任して財産の換金や差し押さえ解除・免責不許可事由の詳細調査をする必要があるが、管財事件の予納金50万円を払える財産がないので、予納金を20万円まで下げてそういう申立人を救済し、併せて裁判所の負担も軽くする」そういう趣旨の制度です。
以下のいずれかに該当する場合、本来は管財事件として処理されるはずですが、運用上一部の裁判所において少額管財が適用されています。なお、管財事件、同時廃止、免責不許可事由などの用語は、自己破産:同時廃止はこんなに有利のページで確認してください。
■ 換価対象となる一定額の財産がある
■ 借金が給料から天引き、または差し押さえられている
■ 給料が差し押さえられる可能性がある
■ 不正に移動した財産を取り戻す必要がある
■ 利息制限法適用による過払い金返還要求ができる
■ 免責不許可事由があり詳細調査の必要がある
■ 負債総額が5000万円を超えるなど債務整理が複雑になると予想される
全ての法的事案を扱える対応力・安心感
手続きを進める途上で複雑な事実問題や法律問題の存在が判明した場合、申立本人では当然のこと、認定司法書士でも対応困難となります。認定司法書士は140万円を超える事案を扱えず、その活動の場も簡易裁判所に限られているからです。
対応困難となれば事案を認定司法書士の扱える範囲に縮小するか、司法書士から弁護士に切り替える必要があります。こうした事態での重複作業・期間・費用の追加は申立人に大きな負担となってのしかかってきます。最初から弁護士に頼んでいればこのような心配はありません。
弁護士に頼むときに気を付けること
弁護士の報酬には着手金と報酬金の2種類があります。特に報酬金は曖昧な部分があるので、あとでトラブルにならないよう明確にしておく必要があります。
弁護士は事件の当事者ではなく手続きの代理人です。依頼したからもう終わりではなく、申立人は当事者として資料収集に積極的に協力すべきです。また、借り入れ先やや借金の使い途についても、正直に話し弁護士と信頼関係を築くことが大切な心得となります。