任意売却 (2):連帯保証人がいる場合は慎重に
連帯保証人がいる場合の任意売却は、特に慎重に進めるべきです。
ローン停滞が数ヶ月続くと、銀行は今度は連帯保証人に返済を求めます。これは極めて当然で「代わりに返済します」というのが連帯保証人の役目なのですから。
連帯保証人が経済的に豊かだったり資産があったりすると、銀行は任意売却などに応ぜず連帯保証人からの回収を優先します。ひどいときには連帯保証人の資産が先に競売にかけられたケースもあります。
また、債権者の要求に応えられない連帯保証人はブラックリストにも載ります。単なる好意や保証支援のつもりでなった連帯保証人、これほどの責任を負わされるとは。
このように、任意売却する場合でも自己破産と同様に連帯保証人への影響は極めて甚大です。今回は連帯保証人ありで住宅ローン契約をしている場合の任意売却について考えてみました。
任意売却での連帯保証人への影響
任意売却はローン返済の停滞が条件なので、任意売却の条件が整ったときには連帯保証人にローン返済の請求が行くことになります。
任意売却できたとしても、競売と同様ほとんどのケースで借金(残債)が残ります。連帯保証人の方が資力が上だと判断されれば、残債回収の矛先は連帯保証人に向かいます。債権者から見れば、主債務者も連帯保証人も返済の責任は全く平等なのです。
主債務者のとるべき対応
■ 連帯保証人への状況説明
ローン返済が停滞していること、このままでは競売で自宅を失うこと、任意売却を選ぶ理由、任意売却しても残債が残り連帯保証人への影響が出ること。残債は競売の方が多く残ること、などを説明し、連帯保証人に対応策を相談する、そして同意をもらうという流れになります*。
※そもそも連帯保証人がいる場合、債権者の多くは任意売却に際して連帯保証人の同意を条件としています。
つらい話でもいずれ連帯保証人にもわかること、事前に相談の無かった連帯保証人の怒りはいかほどでしょう。連帯保証人は「そんな金、払わない」と言えない立場なのですから。
しかしこの任意売却、連帯保証人にもメリットがあります。本人が自宅を売って借金の大部分を返し、またハンコ代だけ(10万から30万円ぐらい)で借金が大幅に減る効果も見逃せません。
任意売却に伴う連帯保証人との事前相談ですが、そのメリットも理解してもらえばやがて怒りも薄まり前向きに対応してもらえるのではないでしょうか。
連帯保証人への残債請求外し
これはなかなか難しいのですが、任意売却資産の配分交渉で連帯保証人への残債請求権を外せれば、連帯保証人へのその後の影響は解消されます。
しかし、あまりその条件に固執し過ぎると任意売却交渉不成立の原因ともなるので、難しいところです。事前の連帯保証人との相談はその辺の意向も聞いておく、という目的もあります。