任意売却 (4):専門家の選び方で決まる任意売却の成功・不成功

ローン破綻が予想される場合、任意売却という方法がありますが・・・・・

オーバーローン状態の担保付きの自宅を売却し

売却金を債権者に配分して借金の大幅減額を交渉・実現して

所有権移動や抵当権抹消の登記を間違いなく実行する

という、素人には全く困難な作業が必要となります。そして任意売却は交渉成立までに許される時間が限られているのが普通です。

というわけで、任意売却ではこの面倒な作業を代行してくれる専門家に委託することになります。

任意売却のステップ

任意売却の専門家をネットで探すと多くの業者がヒットしますが、無造作に選んでしまうと失敗します。任意売却にはどういう作業や交渉が必要なのかを理解し、安心して任せられる経歴やノウハウを持った専門家を選ぶことが極めて重要です。

以下、その選択の参考となるよう任意売却の各ステップを簡単にまとめてみました。

面談:
債務の状況、ローン返済が困難となった理由、自宅保有への思い入れなど。

専門家側の現状分析:
不動産の売却可能価格、ローン残債額、将来の予想収入と相談者の希望を秤にかけて、相談者にとって最適な案を考えます。

不動産売買の中間代理契約を結ぶ:
話し合いの結果任意売却が選択されたら、相談者は専門家と専属選任媒介契約を結び自宅売買に関する全ての交渉の代行を委任します。

売却価格の査定:
専門家は自宅を見たり写真を撮ったり専門家の目で査定をします。高すぎては売れずに競売になってしまうし、安すぎては債権者の納得を得られません。専門家の最初の腕の見せ所です。

債権者との配分交渉:
専門家は債権者全員に相談者に対して任意売却を代行する旨通知を出し、査定書をもとに債権者と順次、交渉をまとめていきます。任意売却の成立・非成立はほぼこの時点で決まります。専門家の力量がここで試されるわけです。

なお、税金滞納の差し押さえが入っていれば、それを外すため本人共々自治体や国税と交渉する必要もあります。

不動産の売り出し:
債権者の合意を得られたら、その査定額で一般に売りに出します。限られた時間の中で売れなければ任意売却不成立 → 競売となるので、高すぎてもダメ、安すぎてもダメな査定額の設定は非常に重要です。

不動産売買契約:
買い主が見つかると、売り主との間で売買契約を締結します。
そして、確定した売却金額に基づいて配分の最終調整や書類の準備を行い、任意売却が最終局面に近づきます。

決済および抵当権の抹消:
自宅の売買契約から約1ヶ月後、売買残代金の決済を行います。
専門家の手配で決済日には、買い主・売り主・双方の不動産業者・全ての債権者・手続きをする司法書士が一同に会し、所有権移転、抵当権抹消も同日に済ませます。

残債の返済方法のフォロー:
そして忘れてならないのが、任意売却で残った借金の返済方法の決定です。行き届いた専門家であれば、そこまで心配して適切なアドバイスをしてくれます。

任意売却にかかる費用

仲介手数料=成約価格の3%+6万円+消費税

仮に500万円で売れた場合、189,000円となります。これを安いと見るか、高すぎると考えるかですが、上記の大変な実務をを誠実に実行してくれる業者であれば断然安く、いい加減な業者であれば高すぎる・ぼられて損したとなるレベルでしょう。

任意売却では業者選びがいかに大事か、と言うことです。業界事情を全く知らない一般人を適当にあしらい、手数料だけせしめることなどいとも簡単なことです。

最後に任意売却業者選びのNG集をまとめました。

業者選びのNG集

宅地建物取引業の免許がない
これは基本中の基本、これがないと業として不動産の売買ができません。

債権者の紹介した会社
そういう業者は当然債権者の方を向いた仕事をします。手間はかかっても自分で選びましょう。

事務所を持たない業者
これだけの仕事を任せるのに事務所がない、というのは信用できません。間借り事務所というのもあるので、それにも要注意。

土日がお休み
まともな不動産業者は客の利便性を考えて土日も営業しています。

媒介契約が整っていない
不動産の販売委託契約を媒介契約といいます。
媒介契約には、販売する不動産の詳細や金額、販売期間等が明記されています。白紙で媒介契約書を作成する会社は非常に危険ですので、注意してください。

金銭で釣る業者
引っ越し費用や一時金、キャッシュバックを売り物にする任意売却業者。引っ越し費用ならまだしも、多額の一時金は債権者の同意を得られません。

任意売却の専門家として選ぶべきは、不動産取引のプロで且つ債権者との面倒な交渉業務もいとわない、そんな人物か事務所が第一候補でしょう。

なお弁護士や司法書士の場合、自宅の売買自体は提携の不動産業者に外注します。そうなると依頼者側に専門家を選ぶ余地がありません。有能な専門家に当たればいいのですが全く逆のケースもあるため、流れに任せず一度そのリスクを考えてみる必要があります。

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