任意売却 (3):なぜ任意売却は競売より有利なのか?

競売(けいばい)と任意売却、どちらも不動産の処分に関する言葉で、個人ではマイホームに関して使われる場合が多いです。

競売:
裁判所の権限で強制的に借金の担保である不動産を売却すること。引き続きローン残額との差額は借金として残ります。

任意売却:
自分都合による不動産の売却を意味し、ローン破綻に伴う自宅売却に関して使われる場合が多いです。任意売却による自宅の売却後も借金が残るのは競売と同じですが、任意売却の専門家が介在することで競売と比べ有利な条件を獲得できる可能性があります。

ではそれぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。

任意売却のメリット

オーバーローン状態の自宅(自宅の市価がローン残額に満たない)を売ることができる。

競売よりも高く売却でき、残りの借金額を減らせる。

自宅の売却益を複数の債権者の合意のもとに配分し、借金を整理できる。

自宅売却後に残った無担保の借金を無理のない返済計画で返していける。

立ち退き時の引っ越し費用確保や引っ越し先の斡旋もしてもらえる場合がある。

任意売却のデメリット

専門家(不動産業者やコンサルタント、弁護士など)への委託や相談費用が発生する。
※ただし不動産業者の場合、自宅の売却金からの差し引き充当が多いので別枠で用意する必要はない。

債権者との交渉が成功するとは限らない。

任意売却は競売による債権回収を急ぐ債権者との競争となり、時間的な余裕が少ない。

一般人には難しい債権者との交渉を自分でやるよう言われることがある(依頼した任売業者次第)。

専門家選びを間違えると結果に大きな差が出る(交渉不成立・多額の残債など)
※任意売却を専門とする利益重視の不動産業者が多いのも事実です。

内覧(購入希望者に自宅を見せる)への対応。 → 家族の士気低下。

競売のメリット(強いて挙げれば)

何もしない(銀行や裁判所の通知督促を完全無視)でも、競売の結果である自宅引き渡しまでローンを払わず住み続けられる(ローン返済ストップから約1年、長くて2年)。しかしその間の債務には延滞遅延金という高利(14.6%)のペナルティが科せられ、自己破産覚悟の選択となります。

例えば競売後のローン残額1000万円として計算すると1年で146万が追加となり、返済が益々苦しくなります。そしてこのようなコースでの自己破産を勧める弁護士も少なくないのが現状です*。

※弁護士としてはあちこちの調整が必要で面倒な任意売却より、相談料収入の確実な競売+自己破産の方が望ましいという事情があります。

競売のデメリット

市価の50~70%位で処分され、結果として借金が多く残る。

残った借金の交渉余地が少なく、ローン返済時とあまり変わらぬこともある。

競売のことが近所にわかってしまう。

不動産関係の人が付近に出没したり任意売却を勧めたり、何かとうるさい。

引っ越しや立ち退き費用が出ない。

自己破産につながりやすい。

以上のように、メリット・デメリットで比較しようにも勝負にならない、比較するのが間違っているといったレベルです。

財産がある状態でローン返済が滞りそれを放置したままでいると、競売という極めて不利な条件で自宅を失い最終的に自己破産につながりやすくなります。

本人にやる気さえあれば自宅は失うものの任意売却やその他の方法を使って、経済的に再起しやすくなる、そんなお話でした。

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