任意売却 (9):サービサーとのつきあい方

多くの場合、任意売却で自宅を売却しても無担保の借金(残債)が残ります。任意売却すれば借金はゼロになると思い込んでいる人もいますが、今の不動産市況ではそういうことはまずありません。

当サイトの記事「任意売却:資金配分とはどういうこと?」の例では、任意売却によって住宅金融支援機構は残債2100万円に対し、1600万円を回収しました。残りの500万円は債権放棄したのでしょうか?

いいえ、1番抵当権者の支援機構は放棄しません。その債権は最終的にサービサーの手に渡り、債務者は今度はサービサーを相手に借金返済を続けることになります。

※任意売却に応ずる場合、後位抵当権者はハンコ代と称するわずかな金額で妥協するのが業界慣行になっているようです。自社が第1位抵当権者になる場合もありますから。

サービサーとは?

サービサー? 聞き慣れぬ言葉ですが、それは法務大臣の許可を得た民間の債権回収専門業者のことです。ローン滞納中に債権が既にこのサービサーの手に渡り、そこからの郵便物を受け取っているかも知れません。○×債権回収株式会社という社名が多いです。

サービサーは焦げ付き債権を安価(一説では数パーセントとの話も)で買取り債権回収をはかる会社ですが、その運用はかなりファジーというか各社によって大きなバラツキがあります。そこでサービサーの実態を知りそことうまくやり取りできれば、残債の大幅減額の可能性も出てきます。今回はこのサービサーとのつきあい方に焦点を当てました。

サービサーの運用実態

法務省は28年12月の時点で、営業中のサービサーは86社と発表しています。意外と少ないとの印象ですね。
参考:法務省のサイト「債権回収会社(サービサー)の業務状況について(概要)」

サービサーの持つ債権にはバルクセールで仕入れたものも多く存在します。バルクセールとは、民間の金融機関が不良債権を大小織り交ぜてまとめ売りするもので、10億円の債権と20万円の債券が混在したりしています。

サービサーは数パーセントで仕入れた債権に対して、経費を含めてそれを上回る回収ができれば利益が出る構造になっています。とは言え最初からダンピングしてくるわけもなく、当初は残債全部の返済を求めてきます。しかし500円で仕入れたもので2万円を回収するような感じなので、そこに交渉の余地があるわけです。

ですが、会社によってその運営実績や営業手法は違ってくるので、給与差し押さえをほのめかし躍起になって返済を迫るような態度を見せるサービサーもあります。しかし、仕入れ値をある程度知った以上こちら債務者の対応も当然変わってきます。サラ金から借金して返すなどということは、絶対してはなりません。

サービサーは基本的に利ざやで稼ぐ金融会社です。経営効率化のためには、商品の回転率を高め(早めの処理)、コストを抑える(手間のかかる回収や法的手段は後回し)ことが大事なので、それらを念頭において対応することになります。

サービサーへの対応法

サービサーからの督促があっても驚かない、あわてない、急がない。

無理しないで毎月少額の返済を続ける。

500万の残債を200万で、と言われても応じない。もっと下がるかも。

500万の残債を5万で、というようなウソみたいな可能性もなきにしもあらず。じっとチャンスを待つ。

以上、借りた金を全額返せなかったこちらも悪いが、貸した方も責任があるはず。こちらは自宅まで処分して精一杯の誠意を見せている、残った借金はほどほどに返していく、とまあサービサーへの対応はそれぐらいでよいのではないでしょうか?

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