奨学金:イケメン借金との付き合い方

一般的な日本学生支援機構の奨学金を利用して四年制大学を卒業した場合、卒業時の借金は500万円前後になると言われています。毎月の返済額は3万円を超えそれを20年間続けることになります。

ここではその返済が滞った場合の対応について整理してみました。

奨学金という名の借金の特徴

日本学生支援機構の奨学金は、一般の金融機関からの借り入れと比較して低金利ですが、卒業後に返済を延滞した場合は、年率10%のペナルティが課されます。さらに長期間延滞した場合、法的な処置が取られ、給与の差し押さえなどが発生することもあります。

奨学金はそのプラスイメージから連帯保証人として資産の充分でない家族や親戚がなっている場合が多いのも特徴です。返済が滞ると年金暮らしの親にも容赦なく督促がかかります。

返済不能時の対処法

日本学生支援機構の奨学金を例にまとめました。

返還の猶予・減額・免除制度の利用

しかしその条件には厳しいものがあります(あまり助けにならない)。
返還の猶予・減額は結局返済総額は減りませんし、返済免除は死亡とか精神障害の場合です。

自己破産など法的な債務整理

法的整理の方法は「債務整理法を比較!あなたの最適解はどれか?」を参照ください。自己破産を例にとると、奨学金の負債も必ず債権者一覧表に加えることによって、免責対象となり申立人の借金としては消滅します。

しかしその矛先は連帯保証人である家族や親戚に向かうので、両者とも事前に充分相談しておく必要があります。連帯保証人を保護しようと意図的に奨学金のみ除外すると免責不許可の理由になってしまいます。

時効を待つ

時効については「知ってて損はない時効の効用」を参照ください。ただし、奨学金は時効成立まで10年、時効起算点の考え方が特殊であるなど時効に関して特別な面があります。ご自分の例で弁護士等に相談してください。

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奨学金はまぎれもなく借金なので特別扱いはされないし、返済が停滞するとブラックリストにも載ります。それに延滞金が10%になるなど奨学金の名前が泣くレベルです。奨学金という名の学生ローンであると正しくとらえ、対処することが肝要です。

本人死亡時の返済免除

日本学生支援機構のウェブサイト「死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」に、返還免除について記載があります。

次の場合、願出により返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度があります。

1.本人が死亡し返還ができなくなったとき。
2.精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったとき。
・日本学生支援機構にご相談ください。詳細をお伺いし、状況に応じて下記の願出書類を送付いたします。 
・審査の後、結果を通知いたします。

さて、この死亡等による返還免除についてですがいくつか気になる点があります。

返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度がある

「制度がある」というのは、無条件で免除されるのではなく免除される場合がある、と理解されます。

一方、通常の借金では本人が死亡しても借金自体はなくならず相続人に相続され、連帯保証人の責務も継続します。そして相続人が相続放棄した場合、その借金は連帯保証人だけがかぶることになります。

そこで奨学金も普通の借金と同じなら本人死亡でも返還義務は残ることになるはずですが、わざわざ「免除される制度がある」と書いているのはなぜなのか?

ただの借金ではなく「奨学金」だから少し大目に見ようとの趣旨と推測しますが、どうも微妙です。とにかく連帯保証人にすれば、通常は認められない連帯保証免除が「審査によって」認められる可能性があるわけですから、本人が死亡したら必ず「願出」を提出すべきです。「願出」を出さない限り連帯保証免除の可能性はゼロのままです。

また「願出」を忘れていると、本人死亡後の返済予定金につき延滞金付きで請求されることも充分あり得るので注意しましょう。

返還未済額の全部又は一部

全部又は一部、とあるので情状を酌量する意味と思います。運用上の裁量範囲はかなり広いと思われ、苦しい経済状態を訴え支援機構と粘り強く交渉したいものです。

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